こんにちはkyokotobaです
今回は奈良県桜井市にある舒明(ジョメイ)天皇陵の「段ノ塚古墳(ダンノヅカコフン)」を第一目的に欽明(キンメイ)天皇の「磯城嶋金刺宮(シキシマカナサシノミヤ)伝承地」や「桜井茶臼山(サクライチャウスヤマ)古墳」を歩いてきたので報告したいと思います
冬真っ只中の2月でしたが、暖かくなりそうな晴れた日があったのでウォーキングを決行したのです
近鉄電車大和朝倉駅から出発して磯城嶋金刺宮伝承地、段ノ塚古墳、桜井茶臼山古墳という順番で歩き近鉄電車桜井駅までというコースでした

何故、「段ノ塚古墳」に行きたかったのかというと段ノ塚古墳は舒明天皇陵で天皇として最初の八角墳のお墓だったからです
以前「牽牛子塚古墳」を訪れた様子をブログに挙げましたが、その八角墳の美しさに感動したので最初の八角墳を見たいと思ったのです
後で説明しますが畿内にある5つの八角墳は全て天皇陵です
従来は古墳と言えば前方後円墳などが有名ですね
大規模な古墳こそが権力・財力の証とされていたからだと思います
それと一線を画しているのが八角墳なのです
なんかロマンがありますね

3か所を巡って約3時間のウォーキングでした
アドバイスとして「段ノ塚古墳」や「桜井茶臼山古墳」では周辺の山道を歩いたので靴はトレッキングシューズを履いたほうが良いと思います
寒いですが草や虫に心配なく歩けるので晩秋から初春までがベストなウォーキングルートなのではないでしょうか
古代ロマンあふれた八角墳の最初の陵墓を歩きたいシニアにおすすめです
ウォーキングコース
近鉄電車大和朝倉駅から最初に「磯城嶋金刺宮伝承地」に向かい「段ノ塚古墳」から「桜井茶臼山古墳」を見学して桜井駅までのコースです
参考にしてください


約3時間あればゆっくり回れると思います
ただ思いのほか目的地への案内標識が少なかったです
GoogleMapは必需品だと思います
大和朝倉駅
近鉄電車大和朝倉駅には特急以外は全て停車します
案外本数が多いのには驚きました
「磯城嶋金刺宮伝承地」に向かうには北口に降ります

案内板がありました
と言っても詳細ではないので参考程度と思ってください

線路わきの小道を通って向かいます
大丈夫かな?と思うような脇道ですが下記の交差点に通じます

最初の目印が交差点です
慈恩寺の交差点をまっすぐ進み少し歩いて小道を北に進みます

初瀬川(大和川)に出るともうすぐです

磯城嶋金刺宮(シキシマカナサシノミヤ)伝承地
大きな道を右に折れると初瀬川(大和川)川べりに磯城嶋金刺宮伝承地がありました

磯城嶋金刺宮(シキシマカナサシノミヤ)は欽明天皇が営んだ宮とされています

欽明天皇は継体天皇の息子で第29代天皇です
539年から571年まで23年間にわたり帝位に就いていました
欽明天皇の時に百済の聖明王から仏像や経文などが献じられ我が国に仏教がはじめて公的に伝えられたことで有名です

欽明天皇の家系ではその子に用明天皇や推古天皇がいます
孫に聖徳太子がいることでも有名です
磯城嶋金刺宮伝承地は公園として整備されていました
桜の季節はきれいだと思います

初瀬川の下流に「山の辺の道」の「仏教伝来の地碑」がかすかに望めます
距離としては歩いても直ぐです

磯城嶋金刺宮は川に近く交通の便が良い場所だったことが分かりました
次の目的地は舒明天皇陵とされている「段ノ塚古墳」です
天皇として最初の八角墳の陵墓として有名です
訪れる前に「八角墳」について説明しますね
八角墳
舒明天皇陵を皮切りに飛鳥時代の天皇陵は八角墳です
畿内に5か所ある八角墳は全て天皇陵です
何故八角墳なのかという疑問がありますが、有力な説として平城宮跡の大極殿で見ることができる天皇が座する「高御座」も八角をしているので、八角形は天下八方の支配者である天子のいる処という中国・道教の影響を受けていると思われています
八角墳を唯一現代に再現した「牽牛子塚(けんごしづか)古墳」
興味がある方はこちらの記事を読んでください・・・「牽牛子塚古墳」

・畿内の5つの八角墳(年代順)
①舒明天皇陵 奈良県桜井市「段ノ塚古墳」対辺長42m
②斉明天皇陵 奈良県明日香村「牽牛子塚古墳」対辺22m
③天智天皇陵 京都市山科「御廟野(ごびょうの)古墳」対辺長42m
④天武・持統天皇陵 奈良県明日香村「野口王墓古墳」対辺長37m
⑤文武天皇陵 奈良県明日香村「中尾山古墳」対辺長10.5m
さらに草壁皇子墓といわれる「明神束古墳」も八角墳の可能性があるといわれています
天武・持統天皇の息子で皇太子だったのでその資格があると考えられていたのでしょう
「明神束古墳」についてもブログに書いているので興味ある方はこちらからどうぞ 「明神束古墳」
実は天皇陵と違う八角墳も存在するのです
東京都多摩市百草の稲荷塚古墳や兵庫県宝塚市の中山荘園古墳などは天皇陵八角墳よりも古い時代の古墳とされています
地方の豪族たちが中央よりも先に中国の道教の思想に接していた可能性があるのです
八角墳については改めて別のブログ記事で紹介したいと思っています
興味がある方は少しお待ちください
段ノ塚古墳
磯城嶋金刺宮伝承地から舒明天皇陵である「段ノ塚古墳」に向かいます
「段ノ塚古墳」は桜井市忍坂の地にあります
行き方として近鉄電車の線路の向かい側に歩きます
ハッキリいって道に迷いました
ほとんど案内標識がないからです
とにかく国道166号線の忍阪(おっさか)の交差点まで歩いてください

忍阪(おっさか)の交差点をウォーキングコースで赤線で表示していますが大和朝倉駅方面に進むと案内板がありました
案内板の横の道を川に沿って進みました

ようやく舒明天皇陵の案内石碑がありました

ここから山に向かって行くのですが途中にこんなものがありました
巨石の上に半鐘が置かれている歴史を感じさせる史跡です


谷の山裾に段ノ塚古墳が見えてきました
とても立派な墳墓です
すぐ横に専用駐車場がありました

・舒明天皇
舒明天皇は田村皇子と呼ばれていた時代に聖徳太子の息子の山背大兄王との皇位継承争いを経て第34代天皇として即位しました
在位は13年(629~641)です
斉明天皇の夫で天智・天武天皇の父でもあります

「段ノ塚古墳」は古墳時代終末期の古墳で形状は八角墳です
天皇陵として初めて八角墳を採用した古墳として有名です
宮内庁により「押坂内陵(おさかのうちのみささぎ)」として第34代舒明天皇の陵に治定されています

忍坂山の山麓より南に延びる尾根の先端の南斜面を台形状に名前の由来にもなった3段築成の方形壇の上に、平面が八角形で2段築成の墳丘を造っています
こんな形状だったようです

方形段の裾には自然石の花崗岩の列石を並べ、八角墳丘部の基底部には榛原石を小口積みに、墳丘斜面は榛原石を平済みにして墳丘を飾っていたと思われます
段ノ塚古墳は舒明天皇陵でほぼ間違いないであろうといわれています
日本書紀によると、舒明13年(641年)に崩御され、翌々年の皇極2年(643年)に「押坂内陵」に改葬されたとあります
そして平安時代に書かれた『延喜式』では、母親の田村皇女のお墓は舒明天皇陵内とされている事から合葬されている可能性があるのですが、文久年間に村人が石室の中に入ったことがあり2基の石棺が見えたという話があるので『延喜式』と符合するのです
この話からも研究者の間でも被葬者は舒明天皇と母親の田村皇女の可能性が高いと言われているのです

墳墓から見た忍阪地区
埋葬者に見せたかった景色です

実は墳丘の周りを歩くことができるのです
お墓の中は立ち入り禁止ですが垣根の外をぐるっと一周してみました
山に向かう小道を進みます

「鏡王女万葉歌碑案内板」の横を通ります

小道から墳墓の垣根横の道に分かれます

道らしい道はありませんが立ち入り禁止エリア(垣根の内側)には入らないでください

墳丘を覆っていたと思われる平積みの榛原石の一部が見えるところがありました

真冬だったので草が生い茂ってなかったのが幸いでした
夏は歩くのは難しいと思います
一周してきました

墳墓の横の駐車場に降りることができました

段ノ塚古墳周辺はよく整備されています
さすがに真冬だったのでkyokotobaしか見学者はいませんでした
段ノ塚古墳よりさらに谷間の奥には「鏡女王墓」と「大伴皇女押坂墓」があるのですが、今回は先を急ぐのでやめておきました
八角墳に積み上げた平石も見ることができ満足して次に向かいます
桜井茶臼山古墳(さくらいちゃうすやまこふん)
段ノ塚古墳から桜井茶臼山古墳に向かいます
ここからのコースは簡単です
国道166号線までとりあえず忍阪集落を抜けて出てください

国道165号線との三叉路を左折します

国道わきに宗像神社があったのでお参りしました

国道右手に見えてくるのが桜井茶臼山古墳です

3世紀末の古墳時代初期の巨大な前方後円墳です
国の史跡に指定されています

何故か古事記・日本書紀には記述がなにもないので埋葬者は分かっていません
しかし古墳調査の結果、国内最多の103面以上の銅鏡破片が見つかっていて、奈良県立橿原考古学研究所は桜井茶臼山古墳の被葬者は「他の古墳の追随を許さない隔絶した地位にあった人物」であり、「3世紀末の奈良盆地には邪馬台国とは比較にならない圧倒的な王権が存在したことが明らかになった」と発表しています
大和朝廷と関係があるのか無いのか、関係があるなら記紀に記載がなぜ無いのか、関係が無いならどんな地位の埋葬者なのか考えるだけでロマンがありますね
古墳の周りをぐるっと歩いてみました

ここも冬しか歩けないと思います

出口が分からなくなり民家の玄関先に降りてしまいました

ここからは市街を歩いて桜井駅に向かいました

桜井市の街は何度か歩いたことはありますが歴史を感じる街並みです
桜井駅から近鉄電車で帰りました

まとめ
天皇として初めて八角墳を採用した舒明天皇陵である「段ノ塚古墳」は素晴らしい陵墓でした
何より当時墳丘斜面を覆っていた平積み石を見ることができたのもラッキーでした
注意して欲しいのは夏には草も生い茂るし蛇も出そうなので墳丘の周りを歩くことはおすすめしません
自己責任でお願いします
桜井市の東部に位置する史跡を3か所歩くこと約3時間
シニアにとってちょうどいいウォーキングコースだと思います
歴史好きな方は下調べをして歩くと更に楽しいウォーキングになるでしょう
古代ロマンあふれた八角墳の最初の陵墓を歩きたいシニアにおすすめです
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